2017-05

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大門剛明「共同正犯」

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姫路の製鎖工場で、あくどい商法で知られた不動産業者の遺体が発見された。
疑いは工場の持ち主で、被害者への巨額の連帯保証債務に苦しむ女社長に向けられた。
しかしベテラン刑事・岩田は、事件に共犯者がいることを見抜く。




書店で「優しき共犯者」という文庫本を見つけたけど、よく調べたら単行本の改題文庫版でした。
前記事の「後悔病棟」といい、こういうのはもっとすぐにわかるようにしといてほしい。
書店で見つけた時には買う意欲満々だったけど、結局図書館で借りました(〃ノωノ)
・・・・・・っていう読者が多いから、こういう手を使うんだろうね。


それはさておき感想です。

翔子が社長を務める製鎖工場が、連帯保証人制度の犠牲になり倒産の危機に直面する。
3億以上の負債を埋めるには、どう考えても破産するしかないと思えるのに、頑なにそれを拒む彼女。

でも彼女は地元のアイドルなわけで (*ノェノ)
彼女を守り、工場を守るために地域の皆が必死になって動く話・・・に思えた。
実際は、殺人事件が起こってそれの捜査がメインなんだけど、なんか事件の方は霞んじゃったな~


大門作品には大抵、”度を超えたいい人”が登場するのです。
でも、ここまで自分を犠牲にして人のために尽くす人物像だと、逆に冷めてしまう。
いい話すぎて作り物の不自然さを感じてしまう自分にも嫌気が差します。

それでも、ラストのどんでん返しはいつもお見事なので、それを期待してついつい読んでしまう作家さんです。


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ジョン・ボイン「縞模様のパジャマの少年」

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ベルリンから引っ越してきた見知らぬ土地で、軍人の息子ブルーノは遊び相手もなく退屈な毎日を送っていた。
ある日、ブルーノは探検に出かけ、巨大なフェンス越しに、縞模様のパジャマを着た少年と出会い、友情が芽生えるが…。




第二次世界大戦中のドイツでの話
収容所に入れられたユダヤ人の少年と、それを監視する軍人を父に持つ少年との交流を描いています。
読友さんに薦められて読んでみたのだけど、とても辛い内容でした。

クライマックスに向かうに従い、嫌~な予感が・・・
読み終わった時は脱力感でしばらく動けなかった。
悲惨すぎる結末で、変な話、訳者あとがきで「収容所の厳重な監視体制からしてありえない話」とあるのが救いに思えたくらい。

しかし考えてみると、戦争や迫害によって、現実にはこんな悲劇が数え切れないほど起こったわけで。
たくさんの悲劇が歴史的事実であることに変わりはないのです。


この本、中高生あたりが対象っぽい。
文字が大きいし、よみがながふってある漢字がたくさん、ページ数も少なめ。
確かに、若い人たちがこういった小説を読んで語り継いでいかないといけないことだと思います。

ユダヤ人迫害に至った歴史的背景については描かれていません。
そういうことは授業や教科書やウィキペディアで補って、ということかな?

映画化されているようなので、そっちの方がわかりやすいかもしれません。
私は原作が気に入ったら映画やドラマも観たい方だけど、辛すぎて・・・しばらくは観れそうにありません・・・。



中山七里「翼がなくても」

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陸上でオリンピックを狙う沙良は、交通事故で左足を切断、しかも加害者は幼馴染の泰輔だった。
ところが、泰輔は何者かに殺害され、多額の保険金が支払われ…。
切なさあふれる長編ミステリー。




中山さんって、テーマをコレと決めたらかなり入れ込むタイプなんですね。
今回は陸上競技と義足。
専門的な部分が多かった。


沙良のことが(性格的な面で)どうしても好きになれなかった。
事故後も義足で競技を続ける彼女の必死さ・強引さには理由があり、それを差っ引いてもちょっと・・・

それに、事故の加害者が幼馴染で引きこもりっていう設定も違和感があった。
引きこもりなのに夜中に車を乗り回すの?
彼の内面をもっと掘り下げてくれないと、ラストにつながらない。

泰輔の母親もかなり問題ありの人物で、こういう家族が隣に住んでるって悲劇だわ・・・
いっそ、加害者と被害者が隣同士に住むという葛藤をメインに描いてくれたら、もっとドロドロ楽しめたのに(;^_^A

なにぶんスポーツメインなので、その競技に興味がないとついていきづらい。
義足とか障碍者アスリートの世界とか、想像が難しくて。
パラリンピックへの関心を促す効果は少しはあっただろうが、ミステリ度は小さく、あっけなかった。


垣谷美雨「後悔病棟」

  yjimage[3]


神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。
ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。
聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。
夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。




2014年刊行「if サヨナラが言えない理由」の改題・文庫版だそうです。
こういうのはもっと大々的に書いといてくれないと。
ま、読んでなかったからよしとしよう。


一種のタイムトラベルもの。
病院が舞台で人の死を扱っているけど、ジメジメせずサラッと読めるお話。

ルミ子が庭で拾った聴診器によって、死期の迫った患者が人生をやり直す体験をするという設定。
あまり読まないタイプの本なのでそこそこ楽しめたんだけど、後半の話ほど後味が悪かった(;^_^A

人としてどうなの?というタイプのキャラがどの患者の周りに多い。
そしてその人たちがのうのうと暮らしているところにイラッとした。
中途半端なところで話が終わる(患者が死んじゃう)ので、モヤモヤも残るし・・・。

まぁ、エピローグはよかったしルミ子も成長したみたいでめでたい。
幸せのバトン(=聴診器)は受け継がれ、続編もありそうな気配です。


小泉今日子「黄色いマンション 黒い猫」

  yjimage[2]


私は原宿を歩きながら、過去や、未来や、自分の心の中を旅した-。
今だから書けること、今しか書けないことを綴った、小泉今日子のエッセイ集。
『SWITCH』連載に書き下ろしを加えて書籍化。




彼女が本をたくさん出していること、遅ればせながら最近知りました。

アイドル時代のキョンキョンはそれほど好きじゃなかったし、あまちゃんも見てなかったので、女優さんと言われてもピンと来なかった。失礼すぎる私です(;´∀`)

「どうせ芸能人の片手間でしょ」という意識で読んだため、文章が上手いのにビックリしました。
読書好きっていうのはポーズじゃなく、本当だったんだ!

飾らない言葉で、文章の書き方もいろんなパターンを持っている。
エッセイって、私は途中で飽きてしまうことが多いんだけど、どのお話も興味深く読めました。


冒頭の猫の話がひどすぎる。
多分コレ、実話だろうけど・・・
猫にとっても、キョンキョンにとっても本当に気の毒。
こういったいやがらせとか、(すぐにファンに住まいがバレるため)部屋の更新をしたことがないとか、アイドルも大変ですね。

デビュー前の複雑な家庭環境やボーイフレンドの話など、正直すぎて大丈夫?って心配になるくらい、あっけらかんと書かれていました。

デビュー前も後も結構波乱万丈に見える彼女。
流れの中でしなやかに生きている大人の女のイメージです。




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プロフィール

chikura

Author:chikura
ミステリ小説が好きで、乱歩賞受賞作家を中心に読んでいます。
気に入った作家を続けて読むタイプですが、最近は新しい分野を開拓中。
但し、主に図書館・古本利用派のため、本のチョイスは古めです。

     ◇ ◇ ◇

敬愛する東野圭吾さんの作品は、エッセイも含めコンプリートしました。
中でも一番のお気に入りは
「白夜行」♪

 

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